ますますグローバル化する世界において21世紀の人々は国際規範、国内規範さらには私的規範が錯綜する中で、自らの権利の追求とその実現を模索している。 そして人びとは、自らの権利追求にさいして国家の機関が常に適切な方法で援助し得ることをもはや期待していない。 今後、人々が自らの権利をどのように獲得していくかということについて政治そして法実務のなかで長年活発に議論されてきている。 メディエーション、仲裁、調停などの裁判外紛争解決のコンセプトが長期にわたり国家の裁判権に並存している。 少なからぬ領域ではこれら裁判外紛争解決が裁判に代替することが可能であるようにみえる。 しかしまた他の領域では国家の裁判権がなおその独占を主張している。
しかしながら法律紛争の裁判上の解決も合意による解決も歴史的あるいはまさに文化的な背景を有するものである。 実際のところ、西洋世界の過去においても、まさに東洋世界の諸文化がそうであるように、それに関連した非常に豊富な経験を有しているのである。このような知への扉を開き、その知を体系的に広め、裁判および紛争解決制度に関する、あるいは端的に権利と正義にをめぐる今日の社会的・政治的な議論に供するのは、法学および人文社会科学的基礎研究の役割である。
実務とのコミュニケーションがLOEWEイニシァティヴの助成を受けている本研究プロジェクトに特に要請されているものであり、われわれは「専門家委員会」を通してその要請を実現させている。